2020年代のキャリア形成(その1)

ちょっと大きなテーマをぶち上げたかも知れない。
おそらく何回かに分けて投稿するのであしからず。

多動人

私は大学卒業後に2年間のフリーター生活を経て就職した。
それ以来、転職はしたものの会社員人生。
そんな私が人生で直に出会った尊敬できる人が何人かいる。
そのほとんどの人は「何をしているかわからない人」と「肩書きが不明な人」だ。
このような人を「多動人」と呼ぶことにする。

堀江貴文さんの著書に「多動力」というタイトルの本がある。
サクサク読めるので私は3回ほど読んでしまった。
多動人はこの多動力からパクった。
多動力について語ると長くなってしまうので、気になる人は堀江さんの本を読んで欲しい。
(今ならAudibleを使えば無料で聴ける)
簡単に説明すると、一つのことに固執せず、興味のあること、面白そうなこと、チャンスだと思うことなどにどんどん挑戦していく力、それがどんなに多忙を極めようが、方法や環境を改善・効率化して超人的なスケジュールでもこなしてしまう力だと認識している。

多動人は2パターンいる。

1つ目はこれまでに複数のキャリア、複数の職種、バラエティに飛んだ業務経験などを経ているため、常にいくつもの案件を抱えたり、複数の部署にまたがって業務を行ったり、たまに「そんなことも出来んの?」と驚いてしまうような荒業を繰り出してしまう人。
転勤、転職によって複数現場を経験した人に多い傾向がある。

2つ目はとにかく何をしているのか、企業に所属する常識人には分からない人。
古着屋を経営していると言いつつも毎日フラフラしていたり、イベントを手伝ったり、主催したり。
どうやって生活しているのか謎だが、こういう人も多くがフレキシビリティにあふれていて、柔軟な頭と体で時代にフィットした人生を送っている。
どうやって稼いでいるのかはそれぞれバラバラで、それこそバラエティに富んでいる。

この2つの人種を総称して多動人としたのは、どちらも複数の案件、バラエティに富んだ業務(遊びのようなものも含め)を同時に進行させているからだ。

2020年代のこれからは多動人こそ価値がある人材であり、起業したい人やフリーランスの人だけでなく、会社で出世したい、給料を上げて欲しいと思っている人も多動人になるべきだ。

理由はいくつかあるが、理由の説明の前に3つの前提条件を共通認識としておきたい。

前提1
アフリカの田舎の若者も東京の大学生も同じ土俵に立っている。

これまでは東京で就職活動をする大学3年、4年生は同じ年代の日本の(しかも主に関東圏の)大学生と勝負をしていた。
しかし一旦就職して社会人になってしまうと、同世代どころか、これまで自分を甘やかしていた親世代までを巻き込んだライバル競争に身を投じることになる。
それでもこれまでは同じ地域や同じ国の中で勝負することが多かっただろう。
しかしインターネットとスマホが登場して世界は一変した。

アフリカの田舎の、個人宅には電気も通っていないような村の若者が今一番欲しいものはスマホだそうだ。
個人宅には電気が通っていなくても市役所のような公共施設に行けば充電ができて、速度は安定しないがWi-Fiが飛んでいるらしい。
スマホがネットに繋がった瞬間、東京の学生もアフリカの若者も同列化するのだ。

一昔前までは日本と途上国との物価には何倍もの格差があったが、国によっては現在は2倍ほどまで差を縮めているし、一部の富裕層は日本の裕福な方のサラリーマンの何倍も稼いでいる。

日本に住んでいることはもはや何のアドバンテージにもならない。

前提2
今、やっている仕事が5年後もあるとは限らない

AIが恐るべき速度で社会に進出している。
商売柄、車業界のニュースは気にかけて見ているが、昨年まではあと10年はかかるだろうと言われていた完全自動運転の車が、すでに公道を走り出している。
2018年12月、東京都内では完全自動化したタクシーが公道実験を成功させ、前橋区では自動運転のバスがお客様を載せて区内を走った。
念の為運転手は乗っていたものの、法整備が間に合っていないだけの話だ。

AIの進出が進むと世界はいちいち変革を繰り返していくだろう。
美容師ロボットが登場して美容師は絶滅するかも知れない。
車は自動運転になり、タクシーの運転手は必要無くなるかも知れない。
人体の状態を即座に認識、過去のカルテ情報や海外の論文を即座に検証し、診断結果を出してくれるのならば、人間の医師による診察は必要だろうか。
過去の判例を誰よりも記憶しているのは優れた弁護士や検察や裁判官ではなく、AIだろう。

もちろん無くならない仕事や新しく生まれる仕事もある。
マッサージ師はロボットでは賄えない。微妙な手先の感覚、触覚、肌の温かみは人間の特質だ。
メンタルケアが重要になる看護士や保育士のような存在も残るのではないだろうか。

新しく生まれる仕事として真っ先に浮かぶのはAIのメンテナンス・補修業務だ。
自動運転のタクシーが増えれば、それらを配車する企業が登場するだろうし、ロボット美容室も流行るに違いない。

とにかく、今やっている仕事を死ぬまで出来るとは考えないほうが良い。

前提3
業種ごとの壁はなくなる

インターネットは電気が発明されて以来の画期的な発明であり、それを更に加速させたのがスマホでありAIだ。
インターネットにより産業の壁はなくなりつつあった。
例えばAmazonだけを取り上げても本と電化製品と食料品は並列化していて、小売業者は他業種ともライバル関係になってしまった。
スマホの中ではHuluアプリの横にFacebookアプリが並び、映画とSNSはユーザーの時間を取り合う関係になった。
さらにAIが進化することで産業の壁はどんどん融解していくだろう。
自動車が完全自動化してしまった世界では運転席やハンドルなどは必要なくなり、車内はプライベートルームのようにインテリアが重要になってくる。
より自分好みの車に仕上げるのは整備士や鈑金塗装工の仕事ではなく、インテリアデザイナーや家具職人の仕事になるかも知れない。

もはや業種ごとの壁はなくなった方が良いし、その方が時代にフィットしていると言える。
そんな時代に求められるのは一つの仕事を極める職人やプロフェッショナルではなく、多種多様な業種をまたがって仕事ができる人になるだろう。

長くなるので今回はここまでにする。

次回は上記の前提条件を踏まえて、多動人になるべき理由を述べていこう。

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