高校新卒者の地元就職は正解なのか

過疎化が進む地方都市は日本中探せば探すだけ見つかるでしょう。
日本全体が人口減少を続けていて、東京を中心とした都市部中心の産業形態が中心の社会では起こるべくして起こっている問題と言えます。
地方都市では人口減少、特に子ども、若者の減少に苦しんでいます。
要するに労働人口が少なく、産業が活性化しないのです。
地方から都市部への人口流出を防ごうと、地方行政が取り組んでいる課題の1つが「高校・大学新卒者の地元就職」です。
特に高校新卒者の就職に関しては学校と保護者の意見が優先されるケースも多く、行政の取り組みが反映しやすいように思います。
本当に新卒者が地元企業に就職し、地元に残ることが地方の活性化につながるのでしょうか。
そう単純ではない気がしています。

新卒者の地元就職の目的が地方の人口維持もしくは増加にあるのだとしたら正解なのかも知れません。
しかし目的はあくまで「活性化」にあるはずです。
「活性化」の定義、何を持って活性化したとするのかは難しいですが、例えば地元企業に良い人材が育ち、営業利益や事業規模が拡大し、経済効果へつながり、地元の税収が増え…ということをイメージするとします。
地元で就職した新卒者は上記のような人材になり得るでしょうか?なり得ないとは言いません。
しかし上記のような人材に育てる近道が卒業即地元就職ではないと思うのです。

私が感じた地域格差

私は高校卒業までを長崎県の田舎で過ごしました。
高校卒業と同時に大学進学のために18歳で大阪へ引っ越し、一人暮らしを始めました。
大阪という大都会に圧倒的な衝撃を受けると同時に、大学内にはこれまで会ったこともないような多様な人が存在し、多様な価値観が溢れていました。
高校卒業するまでは割と秀才だと自分で思ってましたが、秀才であることを否定されたばかりか、秀才を良しとする価値観すら覆されました。
30歳を過ぎて都内で就職した時もそうです。
異星人のように頭の回転が速い切れ者や、圧倒的な記憶力とコミュニケーション能力と営業力を兼ね備えた人などが同じ職場に溢れていました。

4年前に地元に帰って来て感じたのは、大阪や東京に溢れていた、私の価値観を覆したような人たちが、地元には圧倒的に少ないということです。
全くいない訳ではないのですが、少ないということを問題視しています。
多数派の意見を重んじる文化圏において、少数派の価値観は否定されがちだからです。
それでは新しい価値や文化は育まれませんし、これからの時代を生き抜き、リードしていく人材は育ちません。

地方活性化のために必要なこと

地方の活性化に必要なことを人材という視点で考えて見た結果、2つのことを思いました。

地元に人材を集める

都市部(特に東京)で活躍した人を呼び寄せ、地方に育まれていない価値観や文化を育むことが必要な気がします。
幸い、これだけインターネットとスマホが普及していれば、地方にいながらも東京の仕事をこなすことは可能でしょうし、フリーランスで活躍しながら全国を飛び回っている人もたくさんいます。
そんな人達に地方へ移住・定住してもらったり、定住が無理でも地方拠点を作ってもらったり、それも無理ならトークイベントや事業への参画でも良いと思います。
とにかく地方へ新しい価値観やトレンドを注入する頻度と物量を高めないといけません。

修行してから帰ってきて貰う

若者を数年間、東京や外国で修行させてから地元に帰ってきて貰うことも良いでしょう。
最も分かりやすく、やりやすいのは、全国規模の企業の地方支社に就職した若者をそのまま地方に居させるのではなく、数年間東京で働いてから帰ってきてもらうことでしょう。
東京のような大都市に拠点を持っていない中小企業などは、大企業と連携して新卒者出向制度のようなものを作ってみてはどうでしょうか。
地元活性化のために行政と企業が一緒になって取り組めば、そんなに困難なことには思えません。
一過性で自己満足のためだけのお祭りやイベントなどにお金と人的資源を割いている場合ではありません。

私も東京からのUターン勢として、地元のために出来ることをやりたいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です